Nestin-CreERT2/lox-ASIC1a-loxマウスにTMX(タモキシフェン)を5日間連続腹腔内投与し、神経幹/前駆細胞特異的にASIC1aを欠損させ、最後のTMX投与の3日後に左側中大脳動脈永久閉塞(MCAO)を行って梗塞巣を作製した。このマウスはBrdUアッセイにより、脳虚血で神経幹/前駆細胞の増殖が亢進することが示唆された。しかし、28日後の新生ニューロン生存数はコントロール(梗塞巣対側)と差がなくなることより、本年度はcleaved caspase-3の免疫染色を行い、細胞死の亢進が梗塞巣側で起こっているか否かを検討した。その結果、梗塞巣側では対側に比べ、cleaved caspase-3が増加傾向であったが、データのばらつきが大きく有意差は認められなかった。データのばらつきは、梗塞巣の大きさのばらつきに起因していると考えられるため、梗塞巣の大きさを揃えた脳虚血モデルマウスのデータが収集できれば有意差がつくかもしれない。 また、レトロウイルスを用いた新生ニューロン特異的EGFP遺伝子導入による樹状突起やスパインの形態学的解析を行い、虚血脳におけるASIC1a KO新生ニューロンの発達を評価した。正常脳における新生ニューロンのASIC1a発現抑制により、樹状突起やスパインの発達が抑制されることは既に確認しているが、脳虚血モデルマウスでは個体によるデータのばらつきが大きく、有意差は認められなかった。
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