研究課題/領域番号 |
20K06874
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
中野 高志 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (70579953)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 線条体 / シミュレーション / モデリング / 学習 |
研究実績の概要 |
本研究では学習の柔軟性の背後にある線条体神経回路の多細胞・多階層の動態を明らかにする。特に、線条体神経回路において皮質・視床・中脳からの入力によって出力である直接路中型有棘細胞および間接路中型有棘細胞の神経活動がどのように制御されるのかについて、生物学的知見や実験データをもとにしたリアリスティックなモデルをつくることで、その制御を実現する多細胞・多階層相互作用と生物学的基盤を明らかにすることを目標としている。 令和2年度は線条体神経回路における主たる出力細胞である直接路中型有棘細胞および間接路中型有棘細胞について、それぞれの細胞電気生理学モデルの構築を行った。直接路中型有棘細胞については、研究代表者が既に構築してあった直接路中型有棘細胞の細胞電気生理学モデルを改変し、ムスカリン受容体およびKCNQチャネルを加えることでモデルを構築した。間接路中型有棘細胞については、直接路中型有棘細胞の細胞電気生理学モデルをもとに、形態や細胞特性の変更を行い、間接路中型有棘細胞の細胞電気生理学モデルを構築した。これらのモデルは両方ともNEURONシミュレータを用いて構築を行っている。両モデルともイオンチャネルを含めた細胞特性のパラメータは、文献をもとに値を設定し、さらにBlue Brainにおけるパラメータ最適化用に開発されたBluePyOptを用いてNEURONシミュレータモデルのパラメータ推定を行うことで、電気生理学実験データとモデルの挙動があるように設定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り、線条体の直接路中型有棘細胞および間接路中型有棘細胞のモデル構築を行い、それぞれの細胞電気生理学モデルの構築を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
線条体コリン作動性介在神経細胞の電気生理学モデルを構築し、学習の柔軟性の基盤となる線条体神経回路における主要な細胞種のモデルを構築する。これまで構築したモデルは実際の形態を取り込んだリアリスティックモデルであるが、計算量削減のため、形態がシンプルなモデルの構築も並行して行い、電気生理学的挙動が実験データに合うようパラメータの探索を行う予定である。またそれぞれの細胞における細胞内シグナル伝達のモデル化も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、研究者が現在所属する大学の研究費や外部資金などの別の予算で研究費を捻出できたことにより、次年度使用額が生じた。しかし、次年度からは、シミュレーションのために必要な計算機を積極的に購入することにより研究を加速する。
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