研究実績の概要 |
マウス全脳での蛍光シグナルの3次元的な定量には、できるだけ等方的なイメージングを行う必要がある。そこで、光シート顕微鏡のz分解能の悪さ(従来10um程度)をAxial-sweep法を導入することで改善を行った(3~4 um)。これにより、マウス脳を膨張さて実質的に解像度を向上させるCUBIC-X手法を用いずにマウス全脳の全細胞解析が可能となり、c-Fosに定量的な解析が可能な顕微鏡の基盤技術を確立した。Axial-sweep法の光シートの焦点位置の走査には、液体レンズ(ETL)を用いたが、付属の制御ドライバや外部の電流制御装置では、20fpsでの走査が限界であった。そこで、液体レンズ表面を高速かつ振動を抑制するレンズドライバを作製し、使用しているsCMOSカメラ(浜ホト社製:Orca-flash))の最大フレームレート(30msサイクル,各ピクセル5ms露光)まで高速化することに成功した。 また、睡眠時、覚醒時または薬剤刺激などでどの神経細胞の活性が向上するのかを同定するため、マウス脳の透明化およびc-Fos抗体によるマウス全脳染色条件の検討を行い、最適な抗体の種類と染色条件を決定した。 さらに、新規の導入した長作動距離対物レンズ(NA0.3, WD32.9)を有した光シート顕微鏡を作製し、大きな臓器まで観察可能な大型光シート顕微鏡の作製を行い、マウス脳だけでなく、ラットやマーモセット全脳まで研究対象を拡張できるようになった。
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