本研究では、マウス全脳をまるごと透明化し、神経活動マーカーであるc-fos タンパク質のマウス全脳免疫染色を行い全脳・全神経細胞の活動状態を定量することであり、マウス全脳のc-Fosタンパク質の染色の開発、データ解析方法の開発が必要であった。 c-Fosのマウス全脳の染色方法では、既に既報のCUBIC-HIstVisoonの論文で発表している抗体で染色を行っていたが、良く染色できる場合と染色性が落ちる場合があることがわかった、これは組織取得、固定後から染色までの時間に影響を受けており、安定した結果を得るためにはより安定性の高い抗体の選定が必要であった。しかし、どの抗体が様々な条件下の組織で安定に染色できるのかが判断できなかったため、抗体の網羅的なエピトープ解析技術DECODEを用いて市販のc-Fos抗体のエピトープ解析を実施した。これにより、これまでに用いていた抗体はホルマリンやPFAに反応性のあるアミノ酸が抗体の結合部位の中心付近に存在し、固定の進行具合によって染色性に大きな影響を与えていることが示唆された。そこで、6種類以上の抗体のエピトープを調べ、PFAと反応性のあるアミノ酸を抗体の認識部位に含まず、エピトープが特異性の高いものを探した。しかし、特異性が高く結合部位にPFA反応性を含まないものは見つからなかった。1クローンだけ特異性が高く、認識部位の端にFPA結合性のRを比較的弱く認識するクローンを見つけたため、これを用いて研究を行った。この抗体を用いたマウス全脳の免疫染色条件を探して染色を行い、MOVIE顕微鏡を用いて全脳の撮影を行い、解析方法の開発を行った。
|