令和5年度は以下の項目について実施した。 (1)レポーター遺伝子を用いたポリA付加シグナルの選択強度の評価:レポーター遺伝子を用いた選択的ポリA付加反応の評価系のベクターの改良したもの、蛍光顕微鏡では分解促進型蛍光タンパク質(dVenus)の発現が捉えることができず、ウエスタンのみでしか評価することができなかった。PASの違いによる蛍光タンパク質の発現変化を捉えることができなかったため、smFPに分解促進配列をつけ、増感したレポーター遺伝子を持つ発現ベクターを作製した。ただ、この方法ではライブイメージングはできないため、免疫染色にて経時的にPASの変化を捉えることとし、分解配列が機能するかどうかを確かめた。 (2)神経分化に伴う選択的poly A付加反応の複合体形成変化:PASの変動を蛍光で可視化することが難しかったため、選択的ポリA付加反応の責任分子の複合体形成が細胞の増殖・分化の過程でどのように変化するのかを評価するためのベクターを作製し、split nano-luc法にてルシフェラーゼにて複合体形成変化を評価した。その結果、神経分化により形成する複合体に違いがあることを見出した。 (3)選択的ポリA付加反応の責任分子の変調に大脳皮質構築過程の細胞の挙動変化:選択的ポリA付加反応に関与する因子Xのドミナントネガティブ体を作製した。作製したベクターをマウス胎仔脳に遺伝子導入し、その細胞挙動を評価した。その結果、変異体が導入された細胞の挙動が変化し、細胞内の因子Xの局在も異なることを見出した。
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