研究課題/領域番号 |
20K06900
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
星 秀夫 東邦大学, 医学部, 講師 (30568382)
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研究分担者 |
狩野 修 東邦大学, 医学部, 教授 (20459762)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 網膜 / ギャップ結合 / 網膜神経節細胞 / 双極細胞 |
研究実績の概要 |
視覚情報は、受容器である網膜でとらえ、網膜内の局所神経回路で処理された結果が、活動電位(デジタル信号のようなもの)が視神経を介して大脳視覚野に送られる。つまり、脳は網膜で作られた活動電位という情報から、私たちが見ている様々な視覚情報を再構築していると考えられている。網膜では、網膜神経節細胞(RGC)が脳に向けて活動電位を生み出す。RGCは30種類以上のサブタイプが存在すると考えれており、それぞれのRGCが異なる活動電位パターンを作り、脳へ伝達している。 RGCの活動電位(機能)は、RGCと局所神経回路でつながる双極細胞からの興奮性入力とアマクリン細胞からの抑制性入力のバランスで作り出される。つまり、網膜の機能を知るには、RGCとシナプス結合する双極細胞やアマクリン細胞からの入力がどのようになっているのかをシナプスレベルで理解することが必要となる。これまで私は2種類の方向選択性神経節細胞をキンギョ網膜で明らかにしている(1つの細胞は発表済み)。しかし、その2種類がどのような機能的な差があるか不明である。そこで、それぞれの神経節細胞に関連する局所神経回路を構成する細胞の形態を詳細に解析を行っている。私たちが発見したRGCはMb1と呼ばれるON型双極細胞と異所性シナプス結合することを既に報告している(Hoshi and Sato, 2018, J Comp Neurol)。もし、このMb1が周囲の光環境などで周りの隣接するMb1とギャップ結合で局所神経回路の大きさを巧みに変化させるのであれば、その下流にあるRGCが作り出す活動電位に影響を及ぼすことが考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度はコロナの影響による授業スタイルの変更、さらに期間限定の学内業務の増加に伴い、研究時間が大幅に減少してしまったた。そのため研究期間の延長をする。本研究では、目的の神経節細胞に興奮性入力するON型双極細胞(Mb1)に注目した。既に私たちは、Mb1がこのRGCに入力すること知見を得ている(Hoshi and Sato, 2018, J Comp Neurol)。このMb1は、隣接するMb1と樹状突起間でギャップ結合を介してつながっているのに対し、対極の軸索末端ではつながっていないということが電気生理学実験により報告されている。しかし、共焦点顕微鏡を用いて詳細に形態を解析すると、部位依存ではあるが、約10%のMb1の軸索末端同士が、非常に近接してつながっているような光顕像を得た。昨年度(2021年度)までの解析では、その近接部位はギャップ結合とは関係ないと思われていたが、共焦点で得られた連続画像をコントラスト/明るさを変化させて解析しなおすと、かなりの確率でCx35/36のコネキシンを介したギャップ結合を用いたシナプス結合であるという知見を得ることができた。この結果は2023年3月に行われた日本解剖学会で報告した。
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今後の研究の推進方策 |
Mb1の軸索末端間のギャップ結合の形態データを定量化し、ここまでの内容の論文を作成する。その後、このMb1のギャップ結合の開閉状況が明暗の光環境やドーパミンD1受容体で変化するのかどうかを比較し、定量化したのち別論文にする。Mb1軸索末端のギャップ結合の機能的意義について電気生理学的実験を行う予定である。以前はスライス切片での実験が行われていたが、本研究では、全載標本(whole-mounted retina)での実験を行い、比較検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響による授業スタイルの変更、学内業務の増加に伴い、研究時間が大幅に減少した。そのため、研究期間を1年間延長した。2023年度はここまでの研究結果を論文にする。その際、形態の画像データから細胞間距離を自動に検出し定量化できるソフトを利用し、論文に追加したい。このソフトは購入すると非常に高価であり単品購入は困難であるが(約100万)、年間定期購入というスタイルを利用できるためそれを利用させていただく(約30万円:初年度のみ)。また、そのソフトを起動させるには高機能のPCを購入する必要がある(約20万円)。次年度(2023年度)の研究費の大部分はその経費に充てる。残りは次論文のために必要なドーパミンD1受容体系の試薬と、形態実験でルーチンに用いる抗体類の購入費用に充てる。
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