発生初期の感覚入力により、神経回路が可塑的に修正される臨界期が存在する。我々はマウス嗅覚系を用いて、匂い刷り込みの研究を行った。新生仔マウスに特定の匂いを嗅がせると、反応した糸球体内でSema7Aの発現が高まり後シナプスの成熟が促進された。また、嗅がせる匂いが忌避性であっても、誘引性の質感が付与されることも見出した。KOマウスの解析から、匂いに誘引性の質感を付与するのにオキシトシンが重要であることが判明した。一方、臨界期にSema7Aシグナルを遮断すると、成長後のマウスの社会性行動に障害が生じた。本研究はSema7Aとオキシトシンが、臨界期における匂い刷り込みに必要であることを明らかにした。
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