研究課題
基盤研究(C)
私たちは混雑した中でも無意識的に素早く親しい人の顔を見つけることが出来る。この神経メカニズムを調べるために、日常的に被験サルの世話をしている人物と、会ったことのない人物の顔画像をニホンザルに提示し、その時の線条体尾部の単一神経の神経活動を記録した。その結果、同部において物体価値と同様のメカニズムで親しみのある顔が符号化されており、その信号が身近な顔の無意識的な認知に寄与していることが明らかとなった。
システム神経生理学
本研究により、線条体尾部を介する大脳基底核の尾側経路が社会的な文脈においても長期的な価値を表現していることが示唆された。代表的な基底核疾患であるパーキンソン病やハンチントン病において、親しい人の顔の同定が困難となる障害が報告されており、本研究で示された神経メカニズムによってこの病態が説明できる可能性がある。このように、本研究は顔認知の情報処理を明らかにし、疾患時の病態生理の理解を促進する。