研究課題
先天性筋無力症候群 (CMS: congenital myasthenic syndromes,)は筋力低下や易疲労性を呈し、軽度から重度の呼吸困難、嚥下困難、四肢筋力低下が認められるが、その分子病態は十分解明されていない。CMSの中で、タンパク質や脂質の糖化酵素であるGFPT1(Glutamine:Fructose-6-Phosphate Transaminase 1)の変異が原因分子の一つであり、肢帯型の筋力低下が特徴である。GFPT1は、UDP-N-アセチルグルコサミンを合成するヘキソサミン生合成経路の律速酵素であり、UDP-GlcNAc)は、タンパク質および脂質のN結合型およびO結合型のグリコシル化の基質である。 GFPT1は多くの組織で発現しており、特に骨格筋では長いGFPT1-L isoformが生成されるが、その役割は不明である。本研究では、骨格筋におけるGFPT1-Lバリアントの役割を調査するためにexon 9スキッピングマウスを作成し、その結果、Gfpt1-L-/-マウスは高齢になると筋力低下が見られることが示された。さらに、CMS患者をシミュレートするためにGfpt1 exon 9にフレームシフト変異を持つノックイン(KI)マウスを作製した。健常マウスではGfpt1 exon 9が含まれるisoformが筋肉でのみ発現するため、KIマウスでは骨格筋でGFPT1が欠損している。Gfpt1-KIマウスでは、UDP-HexNAc、CMP-NeuAc、およびタンパク質O-GlcNAc化が減少し、高齢化に伴い運動能力の低下や神経筋接合構造の異常が観察された。さらに、骨格筋でのGFPT1欠損は不適応なUPRによりタンパク質凝集体が除去されず、アポトーシスを引き起こしていることが明らかになった。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 4件)
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