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2021 年度 実施状況報告書

大脳皮質味覚野における局所神経回路の動作原理解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K06926
研究機関大阪大学

研究代表者

豊田 博紀  大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (00432451)

研究分担者 佐藤 元  明海大学, 歯学部, 講師 (10432452)
加藤 隆史  大阪大学, 歯学研究科, 教授 (50367520)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードニコチン受容体 / アセチルコリン / GABA / 島皮質 / シナプス / 神経回路 / 錐体細胞 / 興奮性シナプス伝達
研究実績の概要

本研究では島皮質ニューロンに発現しているニコチン性アセチルコリン受容体に着目し、ニコチン性アセチルコリン受容体が島皮質局所神経回路の動作機構や味覚受容に果たす役割を検討することにより、島皮質における味覚情報処理の神経基盤を明らかにすることを目的とする。本年度は、C57BL/6マウスの島皮質第3層および第6層錐体細胞における興奮性および抑制性シナプス伝達が、アセチルコリンやニコチンの灌流投与によりどのように修飾を受けるかを検討した。また、島皮質第3層および第6層に存在する錐体細胞や抑制性神経細胞に対してアセチルコリンやニコチンのパフ投与を行い、細胞体においてニコチン性アセチルコリン受容体が発現しているかどうかを検討した。島皮質第6層錐体細胞から記録されるsEPSCの頻度及び振幅は、ニコチン受容体の活性化により増加したが、第3層錐体細胞から記録されるsEPSCの頻度及び振幅は変化しなかった。島皮質第3層および6層錐体細胞から記録されるsIPSCの頻度及び振幅は、ニコチン受容体の活性化により増加していた。これらの増加は、α4β2ニコチン受容体拮抗薬であるDHβE(dihydro β erythroidine)により抑制された。さらに、アセチルコリンやニコチンのパフ投与の結果、第3層錐体細胞においては、ニコチン受容体電流は観察されなかったが、第6層錐体細胞では、脱感作が遅いα4β2型のニコチン受容体電流が観察された。島皮質第3層および6層では、約半数のFS細胞において、α7型のニコチン受容体電流が観察された。また、島皮質第3層および6層では、殆どの非FS細胞において、α4β2型のニコチン受容体電流が観察され、一部の非FS細胞において、α7型のニコチン受容体電流が観察された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、島皮質第3層錐体細胞における興奮性シナプス伝達がアセチルコリンやニコチンの灌流投与により変化しないが、島皮質第6層錐体細胞におけるシナプス伝達および島皮質第3層および6層錐体細胞における抑制性シナプス伝達が、アセチルコリンやニコチンの灌流投与により増大することを見出した。このことから、島皮質におけるシナプス伝達は、層特異的に調節を受ける可能性が示唆された。ニコチン性アセチルコリン受容体が島皮質局所神経回路の調節において重要な役割を果たす可能性を示唆する所見を得ることができたことから、本研究課題はおおむね順調に進展していると評価できる。

今後の研究の推進方策

マウス島皮質ニューロンのシナプス可塑性(長期増強・長期抑制)が、ニコチン受容体の活性化によりどのように修飾されるかを明らかにする。特に、興奮性および抑制性シナプス伝達が、層特異的に調節を受ける可能性が示唆されることから、シナプス可塑性においても層特異的な制御が生じるかどうかを明らかにする

次年度使用額が生じた理由

国内外の学会にて研究成果の発表を予定していたが、日本生理学会大会以外はオンライン学会となったため、旅費が不必要になった。また、想定していた消耗品量が少なく済んだことが挙げられる。使用計画には、ホールセルパッチクランプ記録や組織化学実験を行うための試薬の費用、実験動物の経費、国外・国内旅費および論文印刷費が含まれる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Nicotine Exposure during Adolescence Leads to Changes of Synaptic Plasticity and Intrinsic Excitability of Mice Insular Pyramidal Cells at Later Life2021

    • 著者名/発表者名
      Toyoda Hiroki、Koga Kohei
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 23 ページ: 34~34

    • DOI

      10.3390/ijms23010034

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Synaptic and Genetic Bases of Impaired Motor Learning Associated with Modified Experience-Dependent Cortical Plasticity in Heterozygous <i>Reeler</i> Mutants2021

    • 著者名/発表者名
      Nishibe Mariko、Toyoda Hiroki、Hiraga Shin-ichiro、Yamashita Toshihide、Katsuyama Yu
    • 雑誌名

      Cerebral Cortex

      巻: 32 ページ: 504~519

    • DOI

      10.1093/cercor/bhab227

    • 査読あり
  • [学会発表] 島皮質局所神経回路の活動制御におけるニコチン性アセチルコリン受容体の役割2022

    • 著者名/発表者名
      豊田博紀
    • 学会等名
      第99回日本生理学会大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 青斑核ニューロンの自己抑制障害による過興奮がアルツハイマー病を誘引する 可能性と咀嚼によるその緩和2021

    • 著者名/発表者名
      豊田博紀,姜英男
    • 学会等名
      認知症と口腔機能研究会第2回学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] マウス大脳皮質ニューロンおいて虚血により誘導される急速脱分極のメカニズム2021

    • 著者名/発表者名
      豊田博紀、河野奨、佐藤元、加藤隆史
    • 学会等名
      第44回日本神経科学大会/第1回CJK国際会議
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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