研究課題
本研究で着目したSlitrk1タンパク質は、シナプス膜タンパク質として知られ、神経突起の伸展やシナプス形成への関与が知られており、強迫性障害との関連を指摘する報告もある。本研究では次の2点を目標として研究をおこなった。1点目は「Slitrk1がNA作動性神経線維の発達を制御するメカニズムの解明」そして、2点目は「脳幹におけるSlitrk1の5-HT作動性神経の発達への影響の探索」である。本研究の成果は、Communications Biology誌(DOI: 10.1038/s42003-022-03891-y)および、Frontiers in molecular neuroscience誌(DOI: 10.3389/fnmol.2022.1080739)へ掲載された。これらの報告では、1点目の目標に対する成果としてSlitrk1欠損マウスにおいてノルアドレナリン作動性神経の過剰発達が観察されること、同時に前頭前皮質におけるノルアドレナリン含量が増加していること、そしてSlitrk1 タンパク質がL1ファミリータンパク質との相互作用を介してセマフォリン3aのシグナル受容に関与し、青斑核神経の突起発達に関わることを明らかにした。一方2点目の目標に関して、Slitrk1欠損マウスにおいてセロトニン作動性神経線維の発達異常を発見し、この異常にはα2アドレナリン受容体が関与している可能性を見いだし報告した。2報目についてはこれまでの知見と合わせてSlitrk1の生理的な機能として上記のモノアミン作動性神経の発達への影響についてミスセンス変異体の機能異常などから精神疾患との関連を指摘したものである。
Hatayama et al., Commun Biol (2022)に関する日本語による解説
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Front Mol Neurosci.
巻: 15 ページ: 1080739
10.3389/fnmol.2022.1080739
Commun Biol.
巻: 5(1) ページ: 935
10.1038/s42003-022-03891-y
https://www.med.nagasaki-u.ac.jp/phrmch1/recent15.html
https://www.med.nagasaki-u.ac.jp/phrmch1/recent16.html