研究課題
本研究では、特定の細胞種のみに光感受性膜蛋白チャネルロドプシン2 (ChR2)を発現した遺伝子改変マウスを用いて、Neurovascular unit (NVU)を構成するニューロン、アストロサイト、血管平滑筋、血管周皮細胞(ペリサイト)の脳微小循環調節における役割を解析した。アストロサイトのみを光刺激するとニューロンの場合と同様に強度依存的に血流増加反応を示し、血流増加領域は拡大した。アストロサイトあるいはニューロンの刺激による血管拡張反応は、脳表の軟膜動脈より実質内の穿通動脈の方が高い傾向が認められた。薬理学的手法による実験から、アストロサイトの血管拡張反応には代謝型グルタミン酸受容体、ギャップジャンクション、内向き整流性カリウムチャネル、NMDA型グルタミン酸受容体、ニューロンの血管拡張反応にはムスカリン性アセチルコリン受容体、電位性ナトリウムチャネル、プロスタグランジン生成、一酸化窒素合成、KCNMA1チャネルの関与が示され、アストロサイトとニューロンは異なる機序で血管口径調節を司ることが明らかになった。さらに、血管平滑筋とペリサイトにChR2を発現したマウスを用いた実験から、ペリサイト自身が血管収縮作用を持つことが明らかになり、光刺激による局所的な血管収縮によって微小血管レベルにおける一過性血流停止(マイクロビーズの一時停止、すなわち微小塞栓の形成)が静脈側で観察された。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
Microcirculation
巻: - ページ: -
10.1111/micc.12861
Stroke
巻: 54 ページ: 2135~2144
10.1161/strokeaha.122.042416