大脳基底核と小脳はどちらも、随意運動の発現と制御において重要な役割を果たす。パーキンソン病は大脳基底核疾患の1つであり、無動や振戦などの運動障害が起こる。パーキンソン病モデルサルの神経活動を調べたところ、大脳皮質-大脳基底核経路のうち「直接路」を介する情報伝達が減弱していた。この結果から、「直接路」を介する情報伝達は運動の開始に必須であり、この情報伝達の異常が無動を生じさせることが示唆された。一方、小脳の活動にも異常が生じていた。振戦が生じている際に小脳歯状核の神経活動を調べたところ、振戦に同期した周期的活動が観察され、小脳の神経活動が振戦に関与していることが示唆された。
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