2023年度は、2本の査読付き論文と2本の解説記事(和文)を発表した。(1) 広視野2光子顕微鏡に関する総説をNeuroscience Research誌に発表した。広視野顕微鏡を開発するときに直面するトレードオフ問題、これまでに発表された広視野顕微鏡や申請者らが開発したFASHIO-2PMの特徴、大規模神経活動記録に関する今後の期待について議論した。(2)自動細胞検出アルゴリズムLow computational-coset cell detection (LCCD) methodについてNeuroscience Research誌に発表した。近年、自動的に細胞を検出するアルゴリズムとして動画像データの行列分解法が注目を集めているが、入力データ(動画像)サイズが大きい場合は、計算機のメモリ空間上に行列を展開できないという問題を抱えていた。LCCDはこの問題を克服して、広視野2光子顕微鏡で取得した動画像から神経細胞の活動を自動的に抽出することを可能とした。(3) 広視野2光子顕微鏡の解説と今後の機能機能化に向けて生体の科学に共著で発表した。これまでの広視野2光子顕微鏡と我々が開発した広視野2光子顕微鏡について解説し、光遺伝学的手法を利用した神経細胞の活性化を利用する広視野2光子顕微鏡についても議論した。(4) 広視野2光子顕微鏡により取得された神経系活動データに基づいて得られたネットワーク解析の結果について解説した記事を月刊「細胞」に発表した。 研究期間全体を通じて9本の雑誌論文(査読有6本、和文解説記事3本)を発表し、6件の発表(招待講演2件、国際学会2件)を行った。広視野2光子顕微鏡に関する論文の他に、観察視野全域の神経細胞にカルシウムセンサーを発現させる方法や大規模データから細胞を検出する方法、広視野2光子顕微鏡に関する総説や解析方法など幅広く研究を進めることが出来た。
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