研究実績の概要 |
RvT1は7位における両エナンチオマーのα,β-不飽和アルデヒドと20位における両ジアステレオマーの共役トリエンを持つホスホニウムのZ選択的なWittig 反応、続く脱保護により、その骨格を構築するものとした。RvT4の全合成研究でα,β-不飽和アルデヒドの合成ルートは確立されている。一方、ホスホニウムはエンインの保護基変換とZ選択的還元を含む数工程で得られるものとした。ジエンインはエンインと両エナンチオマーのヨウ素体の薗頭カップリングにより誘導可能である。ヨウ素体は既知の方法で合成することを計画した。 始めにエンインを以下のように合成した。すなわち、文献に従い、市販のd-リンゴ酸をボランによる還元後、アセタール保護することで、高収率でアルコールを得た。アルコールをSwern 酸化によりアルデヒドを生成し、続く大平-Bestmann の変法を用いて、アルキンを得た。アルキンにSchwartz試薬を作用させヨウ素化した後、トリメチルシリルアセチレンとの薗頭カップリング、脱保護を行うことで、エンインを得た。続いて、ヨウ素体は既知の方法に従って調製した。 合成したエンインとヨウ素体に対して薗頭カップリングを行い、ベンジリデン保護基をPTSA にて脱保護し、トリオールを導いた後、TBS 保護、PPTS による1級水酸基の選択的脱保護を行い、中程度の収率でジエンインを得た。ジエンインを亜鉛アマルガムによるZ 体選択的還元により、(E,Z,E)-トリエンを合成した。次に四臭化炭素を用いたAppel反応により水酸基をブロモ化した後、ホスホニウムとした。 合成したα-β不飽和アルデヒドとホスホニウムをWittig反応により連結し、TBS基の脱保護、加水分解により3 工程43%の収率で (7R,13R, 20R)-RvT1 を合成した。
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