研究課題/領域番号 |
20K06942
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
伊藤 彰近 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (10203126)
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研究分担者 |
山口 英士 岐阜薬科大学, 薬学部, 講師 (10737993)
多田 教浩 岐阜薬科大学, 薬学部, 講師 (20468234)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 太陽光 / 環境負荷低減 / 光反応 |
研究実績の概要 |
最終目的である「太陽光を利用する環境負荷低減型の直接物質変換量産化」を実現するため、特に初年度はプロトタイプ反応システムの構築を検討した。全体のシステムは、太陽光を効率的に集光する装置と光反応フローマイクロリアクターの2つの装置からなり、その二つを光ファイバーで接続する計画である。 まず、高精度光センサーを備えた太陽追尾装置に、プロトタイプとして既成のレンズと赤外線除去フィルターを組み合わせて作成した独自の集光装置を搭載した。微調整可能なアダプタの導入により、長時間、太陽を確実に追尾し、かつ安定に太陽光の集光が可能であることを確認した。 一方、反応部である光反応フローマイクロリアクターについては設計が比較的容易なチューブ型リアクターを作成することとした。素材としては、適度な透過性、優れた耐薬品性を有し、かつフレキシブルなPTFEチューブを利用した。さらに、種々の光反応への適用を想定し、気・液混合(スラグ)流の形成も可能にするため、反応溶液導入用バルブと共に気体導入用バルブも設置した。現時点では、溶液のみの試行で、フローマイクロリアクターとして問題なく使用可能であることを確認している。気・液混合スラグ流の形成に関しては、現在検討中である。 これら2つの装置を光ファイバーで接続し、太陽光のリアクターへの導入検証を行った。その結果、集光した太陽光を、長時間安定して光反応フローマイクロリアクター内に導入できることを確認した。本装置を用いて、次年度以降、代表者がこれまでに見出した酸化反応を初めとする各種光反応への適用を検証していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
① 太陽追尾型太陽光集光装置の設計段階で行った集光レンズの光学特性に係わる集光効率の計算が想定以上に複雑で時間を取られ、装置の作成が遅れた。 ② 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、大学院生・学生等の研究活動時間が大幅に削減され、当初の計画通りに研究を推し進めることが出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
作成した太陽追尾型光反応装置を用いて、無限のエネルギー源である太陽光を直接物質変換へ応用可能であることの実証実験を行っていく。具体的には、各種光反応への適用を行う。すなわち、代表者がこれまでに見出した主な光酸化反応をテスト反応に用い、人工灯(LED、蛍光灯等)に比較して、より高効率化(反応時間の大幅な短縮、収率の大幅な向上)及び高選択化(ラクトン化等における立体選択性の大幅な向上)の検証を行う。結果を太陽光集光装置及びフローマイクロリアクターの設計・構築にフィードバックし、装置全体の改善につなげる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究に使用する太陽追尾型太陽光集光装置の設計段階で想定以上に時間がかかり、装置の作成が遅れた。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、大学院生・学生等の活動時間が大幅に削減され、予定通りに研究を推し進めることができなかった。これらの理由により、現時点でまだ個々の光反応の検証を行うには至っていない。従って、反応に用いる試薬や溶媒、さらにはこれらの結果をフィードバックすることによる反応装置の改善に必要な費用が支出されておらず、次年度使用額が生じた。また、今年度開催予定の国際会議が次年度に延期となったため、旅費の支出がなくなったことも一因である。 次年度以降は、完成した太陽光集光フローマイクロリアクターを用いて各種光反応を本格的に検討すると共に、装置そのものの改善も行っていく。そのために、次年度使用額も使用して鋭意研究を進めていく。また、延期となった国際会議への参加を予定しており、そのための旅費も支出予定である。
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