研究課題/領域番号 |
20K06952
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
吉田 圭佑 名城大学, 薬学部, 助教 (20709779)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | プロアポルフィンアルカロイド / 天然物全合成 / スピロ化合物 |
研究実績の概要 |
プロアポルフィン-トリプタミンダイマーは、プロアポルフィンアルカロイドに、トリプタミン誘導体がスピロ環を形成するように縮合したユニークな構造を有しており、これまで10種以上が報告されている。これらには、前立腺癌細胞株に対する抑制活性などが報告されており、構造と活性両面から合成ターゲットとして興味深い。当研究室では、プロアポルフィンアルカロイドの中でも特異な五環性化合物であるmisramine とその類縁体であるmisrametineの全合成に成功している。今回代表者は、達成した全合成の知見を基に本化合物の合成を目標に、プロアポルフィン-トリプタミンダイマーの前駆体となるroehybrineとroemehybrineの合成を含めた複数の天然物合成を可能にする全合成ルートの確立を目的に研究を行っている。Roehybrineは、不斉四級炭素を含む3つの不斉中心を構造的特徴としている。我々は、その合成に際し、これまで合成してきたmisramineの合成ルートを応用することを考えたが、misramineとroehybrineの対応する官能基の立体化学を比較すると、テトラヒドロイソキノリン環部分の立体化学が逆であるため、本不斉点の立体選択的な構築法の開発が全合成達成の可否を握る。すでに合成ルートの確立している化合物に対して、ケトン部分の立体選択的還元、アジド化続くアミノ基への還元、Ns化、アセタールを有するアルキル基を導入した後、分子内Friedel-Craftsアルキル化、続く還元反応によってroehybrineを構築することを考え検討を行ったが、環化反応は進行するものの、望む生成物を得ることは出来なかった。現在異なるアプローチにて全合成を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プロアポルフィン-トリプタミンダイマーのその前駆体となるroehybrine合成に向けて、上述のアポローチ以外のルートにて懸念していたイソキノリン骨格部分を立体選択的に構築する見込みがたったため、本研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
プロアポルフィン-トリプタミンダイマーのその前駆体となるroehybrine合成に向けて、その基本骨格を、Claisen 転位や、フェノール性水酸基のデオキシ化、第一級水酸基のNHNs化を経て合成した化合物を立体選択的に還元し、続く分子内光延反応によって望む立体化学を有する化合物を立体選択的に合成する予定である。今後は全合成達成に向けて、各種官能基変換を視野に入れ研究を行っていく。さらに、roehybrine合成が出来た後、トリプタミンとのPictet-Spengler反応を検討することで、プロアポルフィン-トリプタミンダイマー類の網羅的全合成を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナによって学内の入構の制限があり、研究室での試薬を用いた調査や検討を行うことが出来ず、残が生じた。これらの調査は次年度において状況の改善具合を見ながら試薬や機器備品等の購入にあてていく予定である。
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