研究課題
最終年度となるR4年度は、2年目に合成した四座配位型キラルニトロキシルラジカルの構造展開と、新規三座配位型キラルニトロキシルラジカルの合成を行った。四座配位型キラルニトロキシルラジカルとして、ビピリジル配位子部分とオキサゾリン配位子部分の間のリンカー長、結合様式を変化させたものを数種合成した。合成したキラルニトロキシルラジカルの触媒活性を、ラセミ体のトランス-2-フェニル-シクロヘキサノールをモデル基質として、銅塩を共触媒とする空気酸化反応条件における、酸化的速度論的光学分割反応によって評価した。その結果、開発済の三座配位型キラルニトロキシルラジカルより高いエナンチオ選択性を示す触媒の獲得には至らなかった。しかし、この間の検討で、四座配位型キラルニトロキシルラジカルが、ビピリジルとニトロキシルラジカルを混合した場合と同等のアルコール酸化触媒活性を示すことを明らかにした。より構造展開容易な三座配位型キラルニトロキシルラジカルとして、臭素化されたアミノ酸から置換反応で配位子部分を導入したものを合成した。臭素原子をホルミル基に変換した後、ジアミンと縮合して酸化する、という戦略で、N-メチルイミダゾール、オキサゾリン、ニトロキシルラジカルが種々の置換様式で結合した三座配位型キラルニトロキシルラジカルを数種合成した。合成した三座配位型キラルニトロキシルラジカルと銅塩を触媒として用いて、2位に様々な置換基を有するシクロヘキサノール類の空気酸化的速度論的光学分割反応を検討したところ、2位にベンゾイルオキシ基を有するシクロヘキサノール類が中程度のエナンチオ選択性で酸化的に分割されることを明らかにした。
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