本研究では、リガンド依存的に遺伝子発現の制御を担うステロイドホルモン受容体およびビタミンD受容体を標的として、その機能を特異的に制御する化合物の創製を行う。今年度は、以下の研究成果を得た。 (1)新規アンドロゲンアンタゴニストの創製:これまでに、クマリン環やキノロン環の7位にcis型構造をとる3級アミド基を持つ化合物にARアンタゴニスト活性を見いだしている。そこで、この置換位置を6位または8位に変えた誘導体を合成した。その結果、6位および8位誘導体には活性は見られず、7位にcis型アミド基を持つことが活性発言に重要であることがわかった。 (2)新規ビタミンD誘導体の創製:これまでに、リトコール酸をリード化合物として、その数千倍の活性を有する誘導体を見いだした。本化合物の詳細な構造活性相関を検討した。具体的には、3位の置換基を種々変換した化合物を系統的に合成し、ヒト白血病細胞HL-60の分化誘導活性を検討した。その結果、3位の置換基としては、3級アルコールを持つ化合物の活性が高く、ある程度の疎水性が必要であることがわかった。また、嵩高い置換基の導入により、アンタゴニスト活性を持つ化合物を見いだした。
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