この研究では、ナノメートルサイズのナノポアピペットに化学修飾を施し、イオン電流変化を指標とした薬剤センシングシステムの確立を目指した。イオン電流計測により、リアルタイムかつ高感度に生体試料中の薬剤を定量することが可能となる。分子認識機構として、電解質多層膜、フェニルボロン酸およびニトロキシルラジカル誘導体を検討し、特にバンコマイシンでは、0.01-1 mMの範囲で濃度依存的なイオン電流応答が確認された。さらに、ナノポア先端に合成高分子を修飾し、pHセンサーおよび酵素センサーとしての応用も検討した。しかし、得られたシグナルの再現性に課題があり、微小空間への修飾操作が困難であることが分かった。
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