研究課題/領域番号 |
20K06985
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
森部 久仁一 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (50266350)
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研究分担者 |
東 顕二郎 千葉大学, 大学院薬学研究院, 准教授 (40451760)
植田 圭祐 千葉大学, 大学院薬学研究院, 助教 (40755972)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 溶解性改善 / SAXS / AFM / NMR / 相互作用 / 運動性 / 難水溶性薬物 |
研究実績の概要 |
Eudragit E PO (EUD-E)の薬物可溶化作用のpH依存的変化のメカニズム解明を目的として、EUD-Eの液中構造及びEUD-E-薬物間相互作用を実験的手法及び計算化学により評価した。EUD-Eに加えてアミノアルキル側鎖のホモポリマーであるPDEMを用いた。 SAXS測定の結果、低pH条件ではいずれのポリマー溶液においてもKratky-plotの線形上昇が認められ、ポリマー鎖は水溶液中においてロッド状またはランダムコイル様の立体構造をとることが示唆された。一方、高pH条件においてはKratky-plotの概形にピークが認められ、pHの上昇に伴いポリマー鎖がより凝集した構造へと転移したと考察した。またMDシミュレーションの結果、両ポリマーにおいて側鎖のプロトン化率の低下に伴い回転半径(Rg)及び溶媒露出面積(ASA)が減少し、ポリマー鎖の分子内凝集が示された。 カルバマゼピン(CBZ)平衡溶解度測定の結果、各種pH緩衝液と比較して全てのポリマー溶液において平衡溶解度が改善し、EUD-E及びPDEMいずれもCBZ可溶化作用が認められ、pHの上昇に伴いCBZの溶解性改善度が上昇した。 MDシミュレーションの結果、いずれのポリマーも側鎖のプロトン化率の低下に伴い最終構造におけるポリマー-CBZ間相互作用数が上昇した。このことから、ポリマー-CBZ間相互作用は疎水相互作用の寄与が高いことが示唆された。 以上、ポリマーのナノ構造・運動性・相互作用評価に基づく薬物溶解メカニズムの解明を目的として、初年度はEUD-Eとナリンゲニン、2年目はEUD-Eとフェロジピン、3年目はEUD-E、PDEMとCBZを用い、それぞれポリマー構造と可溶化能、ポリマー構造と結晶化抑制能、プロトン化率とポリマー構造、可溶化能との関連を明らかにすることができた。
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