アルツハイマー病などの神経変性疾患における細胞死に酸化ストレスが関与することは多くの研究者により指摘されているが、そもそも正常な状態で脳が酸化ストレスからどのようにして守られているか、防御機構の詳細は不明であった。本研究は、オピオイドや神経伝達物質として脳内に広く分布するペプチドが銅結合能を持ち、酸化ストレスの発生源となり得る銅とモノアミン神経伝達物質の酸化還元の制御に寄与し得ることを初めて示した。 得られた成果は、銅の恒常性、脳内酸化ストレス防御系、さらには酸化ストレスに起因する多くの疾患の発症メカニズムを解明する上での重要な基礎となる。
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