研究課題/領域番号 |
20K07006
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
前田 初男 兵庫医科大学, 薬学部, 教授 (00229311)
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研究分担者 |
塚本 効司 兵庫医科大学, 薬学部, 准教授 (00454794)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ポリスルフィド / ポリスルフィド化タンパク質 / FRET型蛍光プローブ / 二波長型蛍光プローブ |
研究実績の概要 |
昨年度、7-hydroxycoumarin-3-carboxylic acidとO-(2-nitrobenzenesulfonyl)-rhodolとの複合体1が、FRET二波長型H2Sn蛍光プローブとして活用できるという知見を得た。しかし、1を再合成し追試したところ、1は大きなストークスシフトをもつ蛍光on-off型の蛍光プローブとしてのみ機能することが明らかになった。 そこで、目的とするFRET二波長型H2Sn蛍光プローブを再設計するため、O-(2-nitrobenzenesulfonyl)-fluorescein (2a)における保護基を再設計し、よりH2Snに対する反応性の向上を図った。これは、2aがH2Snプローブとして機能するためには界面活性剤CATBの添加が必須であるという問題点を解決するためである。そして、この問題はCTABがH2Snの求核性を向上する効果に由来すると考えられた。これを踏まえ、H2Sn反応中心近傍の疎水性を高めるため、O-(2-nitro-5-methyl-benzenesulfonyl)-fluorescein (2b)およびO-(2-nitro-5-isopropyl-benzenesulfonyl)-fluorescein (2c)を合成し、蛍光特性を評価した。その結果、CATB非存在下において、2bはNaSHにはほとんど応答しなかったが、Na2S2に対して高い蛍光応答を示した。一方、2cはNaSHだけでなくNa2S2に対しても蛍光応答を示さなかった。これらの結果から、H2Sn蛍光プローブの設計においてキーポイントなる保護基2-nitrobenzensulfonyl基の5位に適切な置換基を導入すれば、CATB非存在下においても機能するFRET二波長型H2Sn蛍光プローブを開発できると考え、現在、さらに検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19禍の影響を受け、基礎検討に予定したより時間がかかっていたこともあり、ポリスルフィド(H2Sn, n≧2)だけでなくポリスルフィド化タンパク質が複雑に関わるH2Sレドックスシグナルの動態解析に不可欠な蛍光レシオメトリーに利用できるFRET二波長型H2Sn蛍光プローブ7-hydroxycoumarin-3-carboxylic acid/O-(2-nitrobenzenesulfonyl)-rhodol複合体1の設計開発に突貫工事的に取り組んでしまった。その結果得られた1について基礎検討段階で観察された蛍光特性は再現できず、新たなFRET二波長型H2Sn蛍光プローブの設計開発に再着手する必要が生じたため、研究期間を1年延長せざるを得なかった。2024年度は、FRET二波長型H2Sn蛍光プローブの再設計・実用性の検証と同プローブによるポリスルフィド化タンパク質の可視化計測に落ち着いて取り組み、1年延長した研究期間内に予定通りに研究計画を遂行できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度までに得た知見に基づき、再設計・合成するFRET二波長型H2Sn蛍光プローブのポリスルフィド(H2Sn, n≧2)、ポリスルフィド以外の活性硫黄種および活性酸素種に対する応答性を検証し、そのH2Snに対する選択性を検証する。精査したH2Snに対する高い選択性を担保できるFRET二波長型H2Sn蛍光プローブについてポリスルフィド化タンパク質の可視化測定への適用性を検証するとともに、クマリン部位の水酸基をacetyl化することにより細胞膜透過型・FRET二波長型H2Sn蛍光プローブを開発し、その細胞内H2Snレドックスシグナルの動態解析に適用可能なレシオメトリーを確立する。また、最適なFRET二波長型H2Sn蛍光プローブについて、血液内のポリスルフィド化タンパク質、特に、ポリスルフィド化アルブミンのウェスタンブロッティング法による分離分析における発蛍光試薬としての実用性も検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は、FRET二波長型H2Sn蛍光プローブの設計開発に必要な保護基の最適化に注力したため、候補化合物の合成は、既に購入・保管していた合成試薬などを活用できたため、次年度使用額が生じた。 次年度は、再設計したFRET二波長型ポリスルフィド蛍光プローブの合成、それを用いたポリスルフィドの動態解析に資するレシオメトリー、ウェスタンブロッティング法における発蛍光試薬としての実用性検証に取り組むために、当該助成金を適正に使用する。
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