トランス脂肪酸は、主に疫学研究によって、循環器系疾患をはじめとする諸疾患のリスクファクターとされてきたが、その一方で、毒性発現機構についてはほとんど不明であった。また、特に人工型トランス脂肪酸の疾患発症リスクが示され、欧米諸国で摂取量の規制などが導入されてきたが、その科学的根拠や、天然型の毒性の有無は不明であった。 本研究成果により、細胞老化を伴う炎症促進作用とその詳細な作用機構が明らかとなり、新規毒性発現機構の解明に至った。また、これまで確立した毒性分子基盤を基に、実際に人工型のみが毒性を有していることを示すことができ、過去の疫学的知見を支持する重要な基礎的知見を得ることができた。
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