研究課題/領域番号 |
20K07013
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
中野 正隆 金沢大学, 薬学系, 助教 (00816225)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 薬物代謝 / 転写後修飾 / m6A修飾 |
研究実績の概要 |
医薬品による薬効や副作用の個人差は、医薬品成分の血中濃度や反応性代謝物生成など、薬物動態の違いに起因する場合が多い。特に、肝臓に発現するシトクロムP450 (P450, CYP) やUDP-グルクロン酸転移酵素 (UGT) などの薬物代謝酵素の活性や発現量の差が薬物動態に与える影響が大きいことが知られている。薬物代謝酵素の発現制御に関して、従来の研究では転写制御に焦点が当てられてきた。しかし、P450分子種の中には複数の個人肝検体におけるmRNAとタンパク質発現量の間に相関が認められないものもあり、転写後調節もまた重要な発現制御機構と考えられるが、薬物動態制御におけるその機能的意義は十分に解明されていない。本研究では、RNA上において頻繁に認められる塩基修飾であるアデノシン6位メチル化 (m6A修飾) が、ヒト肝におけるP450の発現の個人差にどの程度寄与しているか明らかにすることを目的とした。ヒト肝由来細胞において、m6A修飾酵素であるmethyltransferase-like (METTL) 3、METTL14をノックダウンすることでヒトにおける主要薬物代謝酵素であるCYP2C8やUGT2B7の発現増加が、m6A脱メチル化酵素であるfat mass and obesity-associated proteinをノックダウンすることで発現低下が認められた。以上の結果より、m6A修飾がこれらの薬物代謝酵素の発現を負に制御することが示され、ヒトにおける薬物代謝能の個人差をもたらす新たな要因としてm6A修飾の重要性を初めて明らかにすることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
m6A修飾が薬物代謝酵素CYP2C8とUGT2B7の発現を負に制御することを明らかにした。これらの成果について論文を執筆し、国際学術雑誌に投稿した。
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今後の研究の推進方策 |
m6A修飾が他の薬物代謝酵素の発現を制御している可能性についても検討を進め、薬物代謝制御における本転写後修飾の重要性を見出す。その発現制御メカニズムに関してmicroRNAのプロセッシングに与える影響も考慮に入れ、研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究室で保有する試薬を使用することで支出を抑えることができた。
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