研究課題
不妊症は、妊娠を望むカップルが1年以上の不妊期間がある状態と定義され、急速な人口減少が課題となる本邦において解決すべき重要な疾患の一つである。これまでに私達は、受精能を向上させる各種化合物を発見しており、受精率を高める体外受精技術を開発している。受精技術の更なる向上には、生殖科学を推進し、不妊の原因となる生殖過程の解明や課題を克服する技術開発が必要である。そこで本研究では、生殖科学において最も使用されている実験用マウスを実験に供し、精子と卵子が出会う受精過程における障害(受精阻害因子)の解析を行うことで、受精阻害因子の解明と受精機能を高める新規技術の開発を目指している。本研究により、実験用マウスから採取した精子や卵子を用いて、受精阻害因子のin vitroにおける機能解析を行い、安定して受精阻害が生じる条件を決定した。また、マイクロ流体デバイスを用いて精子を選別することで、受精率が高まることも明らかにしてた。今年度は、生体内の受精環境に着目し、精子が卵子に到達する過程や時期が受精能に及ぼす影響を検討し、受精効率が向上する条件を明らかにした。今後、受精効率の向上に寄与する因子の解明や生殖工学技術への応用を進める予定である。
2: おおむね順調に進展している
本研究課題の実験計画通りに研究を遂行し、各実験において新しい結果が得られているため、概ね順調に進展していると判断した。
昨年度の結果から、概ね予定していた実験計画通りに研究が進捗しているため、本年度も計画していた実験を順次遂行する。具体的には、受精阻害因子が受精過程のどの段階で受精を阻害しているのかを明らかにすると共に、受精阻害因子の分離および同定を進める。また、受精阻害因子を除去する方法についても検討を進める。上記の検討を進めることで、受精阻害因子を標的とした生殖工学技術の応用を目指す。
実験計画が順調に進んでおり、想定より少ない実験(使用動物を削減)で結果が得られたため、使用額に差が生じた。
すべて 2021 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 備考 (2件)
Mammalian Genome
巻: 33 ページ: 192-202
10.1007/s00335-021-09912-1
http://irda.kuma-u.jp/divisions/reproductive_engineer/reproductive_engineer.html
http://card.medic.kumamoto-u.ac.jp/card/japanese/manual/index.html