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2021 年度 実施状況報告書

腸管出血性大腸菌感染症および炎症性腸炎の予防を目指した腸内細菌叢改変法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 20K07023
研究機関岐阜医療科学大学

研究代表者

杉山 剛志  岐阜医療科学大学, 薬学部, 教授 (70268001)

研究分担者 所 俊志  岐阜医療科学大学, 薬学部, 講師 (10551088)
村上 泰介  岐阜医療科学大学, 薬学部, 准教授 (40384135)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード腸内細菌叢
研究実績の概要

昨年度に引き続き、マウス腸内細菌叢における抗菌薬投与による影響についての検討を行った。昨年度使用した4種の抗菌薬では自由飲水投与が不可能であったことから、抗菌薬を変更し、アンピシリン、バンコマイシン、ネオマイシン、リンコマイシンの4種とした。抗菌薬を含まない飲水と比べて、抗菌薬投与マウスではわずかに体重増加が遅い傾向が見られたものの、有意差は見られず、4週間にわたって自由飲水投与が可能であった。糞便中の細菌数を検討するために、糞便中のDNAを抽出し、DNA量を測定するとともに、細菌のリボソームRNAをコードするDNAのリアルタイムPCRによる定量を行ったところ、抗菌薬を含む飲水の投与開始5日後には細菌DNA量は10の5乗分の1未満に減少し、投与期間中はその状態が維持されることが明らかとなった。その後、抗菌薬を含まない飲水に交換すると、交換後2日間は同程度の細菌DNA量が維持され、交換後1週間で抗菌薬投与前の1/100程度まで増加することが分かった。
また、抗菌薬投与によるデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発潰瘍性大腸炎(UC)の病態について検討した。抗菌薬はアンピシリンを10日間自由飲水投与し、その後1週間DSSを投与した。DSS投与期間も継続してアンピシリンを投与した。アンピシリンのみを投与したマウス、DSSのみを投与したマウスについても同様に観察した。アンピシリン投与後にDSSを投与したマウスの2/3はDSS投与3~4日で死亡した。DSSを投与したマウスは体重減少が見られた。DSS投与7日目に安楽死の後、大腸の長さを測定すると、著明な短縮が見られ、大腸内の出血が観察された。大腸の短縮および体重減少ではアンピシリン投与の有無によって有意差は見られなかったが、死亡率および出血の様子からアンピシリン投与によってUCは増悪したと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

動物実験を行い、測定する検体を採取したが、次世代シークエンサーの試薬の販売停止などもあり、腸内細菌叢の解析が思うように進まなかった。昨年度からのコロナウイルス感染症拡大の影響が続き、十分なエフォートを割くことができなかった。

今後の研究の推進方策

抗菌薬投与およびDSS-UCの実験系が確立できたので、腸内細菌叢再構成モデルについて検討を行っていく。4種の抗菌薬投与後に種々の条件で採取した糞便中細菌を接種し、細菌叢の変化とその後DSS投与して起こるUCの程度を調べ、腸内細菌叢とDSS-UCの関係を明らかにする。再構成する糞便中細菌を種々の選択培地で培養し、増殖した細菌を接種することによってDSS-UC発症・増悪に関与する細菌を絞り込む予定である。

次年度使用額が生じた理由

計画が十分進行しなかったことから実施を次年度以降に繰り下げ、次年度に補助金を使用することとした。また、ほとんどの学会がオンライン開催となったため、計上していた旅費の支出は不要となった。今後、遅れている研究計画を遂行するために未使用分を繰り越して使用し、動物実験及び細菌叢の解析を行うための動物、試薬、器具等を購入する費用として使用する。また、学会等にも参加し、情報収集を行っていく。

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公開日: 2022-12-28  

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