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2022 年度 実施状況報告書

腸管出血性大腸菌感染症および炎症性腸炎の予防を目指した腸内細菌叢改変法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 20K07023
研究機関岐阜医療科学大学

研究代表者

杉山 剛志  岐阜医療科学大学, 薬学部, 教授 (70268001)

研究分担者 所 俊志  岐阜医療科学大学, 薬学部, 講師 (10551088)
村上 泰介  岐阜医療科学大学, 薬学部, 准教授 (40384135)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード腸内細菌叢
研究実績の概要

4種の抗菌薬投与およびその後にデキストラン硫酸ナトリウム誘発大腸炎(DSS-UC)に高感受性のマウスより採取した糞便を移植したマウスの糞便中細菌叢を、16SリボソームDNAの塩基配列を次世代シーケンサーによって決定し解析した。これらのマウスは、メトロニダゾールを含む抗菌薬投与後に糞便移植した場合はDSSに対する感受性は低く、リンコマイシンを含む抗菌薬投与後の場合には、移植元のマウスと同様にDSS-UCが発症する。糞便中細菌叢を比較すると、両群は共に移植元マウス群と同様にファーミクテス門とバクテロイデス門が優勢であったが、リンコマイシン投与群はメトロニダゾール投与群に比較して、プロテオバクテリア門が少なくアクチノバクテリア門が多かった。また、デスルフォバクテリア門、カンピロバクテリア門も再構成されていた。さらに詳細に比較すると、リンコマイシン投与群ではファーミクテス門の多様性が高く、一方エンテロバクテリア科細菌は検出されなかった。これらの菌叢の差異がDSS-UC感受性に関与すると考えられ、さらに詳細な解析が必要である。
抗菌薬投与によるDSS-UC感受性について、アンピシリン単独の投与で感受性が高まる結果が得られたことから、アンピシリン投与後の糞便中細菌叢を解析した。その結果、前述のDSS-UC高感受性糞便移植とは異なり、バクテロイデス門よりもアクチノバクテリア門が優勢の菌叢となっていた。アクチノバクテリア門の中ではコリネバクテリウム属、ミクロバクテリウム属などの増加が顕著であった。
抗菌薬投与により減少した腸内細菌叢がその後どのように回復するか、アイソレーター内で飼育して回復した後の細菌叢を解析したところ、興味深いことにラクトコッカスのほぼ単一菌種が増加した。この意義と細菌叢の移植との関係を解析することにより、腸内細菌叢の成立・改変に関する知見が得られると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

昨年、一昨年の遅延の影響で遅れていた進捗状況を取り戻すには至っていないため、研究期間延長を申請し、継続して解析を行っていく。次世代シーケンサーの解析は受託解析を利用することができ、一定の成果を得た。また、動物実験も進めることができたが、まだ十分なエフォートを割くことができなかった。

今後の研究の推進方策

本年の研究で、糞便移植を行う動物実験及びその糞便中細菌叢の解析手法はほぼ確立できた。今後、得られた結果から移植する細菌叢、細菌種を厳選し、腸内細菌叢の再構成を行う。次世代シーケンサーの受託解析を効率よく利用して菌叢の再構成の状況を確認しながら、DSS-UC感受性との関係を明らかにしてく。発症または発症抑制にかかわる特定の菌種を見出し、既知の標準菌株による再構成実験も行って比較することによってDSS-UC発症に必須の因子を同定していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

昨年、一昨年の遅延から、まだ十分に研究を進めることができなかったため、次年度に研究を進めるため研究費用を繰り越した。
得られた結果から、糞便移植、細菌叢再構成の動物実験を可能な限り計画して研究を進めるために研究費を使用する。細菌叢の解析のため、次世代シーケンサーの受託解析を効率よく利用して研究費を使用する。得られた結果を学会、論文発表するために研究費を使用する。

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公開日: 2023-12-25  

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