研究課題/領域番号 |
20K07024
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
藤森 功 大阪医科薬科大学, 薬学部, 教授 (70425453)
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研究分担者 |
前原 都有子 大阪医科薬科大学, 薬学部, 助教 (60825529) [辞退]
小池 敦資 大阪医科薬科大学, 薬学部, 講師 (00625725)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 肥満 / エイコサノイド |
研究実績の概要 |
肥満は糖尿病、高血圧症や動脈硬化などの生活習慣病の発症原因とされ、その予防や解消は重要な課題である。肥満の制御は精力的に解析されているものの、その制御は複雑で、脂肪組織における肥満の明確な制御機構は解明されていない。我々は、脂質メディエーターであるプロスタグランジン(PG)やロイコトリエン(LT)などのエイコサノイドに注目し、脂肪細胞の分化制御における役割とその制御機構の解明を進めている。本研究では、細胞および遺伝子改変動物を用いて、肥満制御におけるエイコサノイドの生理的意義とその制御機構を解明する。さらに、エイコサノイドの機能調節を目的とした抗肥満薬の開発を目指すものである。 マウス脂肪細胞3T3-L1細胞の分化により産生量の変化をLC-MS/MSにより解析し、産生量が変化したエイコサノイド類について脂肪細胞の分化制御における役割の解析を行った。脂肪細胞の分化過程で産生量が増加したLTC4とプロスタサイクリンによる脂肪細胞の分化制御について解析を行った。その結果、LTC4は脂肪細胞分化のマスター因子であるPPARγにより転写レベルでの制御を受け、脂肪細胞の分化の進展とともに産生量が上昇した。LTC4はCysLT1受容体を介して脂肪細胞の分化を促進することも分かった。また、プロスタサイクリンは脂肪細胞の未分化から分化初期に一過的に産生され、プロスタサイクリンを産生する合成酵素の遺伝子発現は、転写因子であるKLF9により活性化されることが分かった。加えて、脂肪細胞におけるPGF2αの合成酵素を同定するために、脂肪細胞で発現する4種類のPGF合成酵素を同定し、それぞれの役割を解析するために、CRISPR/Cas9法により、それぞれの酵素のノックアウト株を作製し、解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脂肪細胞の分化過程で産生されるエイコサノイド類(約30種類)のLC-MS/MSによる定量を行った。LTC4による脂肪細胞の分化促進機構を解明した(論文発表済)。また、プロスタサイクリンによる脂肪細胞の分化制御機構の解析も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
脂肪細胞の分化制御におけるプロスタサイクリンの機能と調節機構を解明する。エイコサノイドによる脂肪細胞の時期特異的な分化制御機構の解明を進める。既に有するPGD2合成酵素の一つであるリポカリン型PGD合成酵素の阻害剤を用いて抗肥満効果を検討する。
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