樹状細胞による抗原提示においては、抗原提示分子であるMHCとともに共刺激分子および共抑制分子を介した相互作用がT細胞の活性化状態を規定する。これらの分子の細胞表面発現は、周辺環境や病原体からの刺激によって変化する。本研究では、炎症や腫瘍周辺環境に高濃度で産生されるATPの樹状細胞に対する作用を解析した。その結果、ATPは抗原提示分子、共刺激分子の細胞表面発現を誘導する一方で、共抑制分子の発現は誘導しなかった。またこの作用には、ATPに加えATPの代謝産物であるアデノシンも必要であった。さらに、ATしたP刺激樹状細胞は抗原提示によって、T細胞からのIFNγ産生を強く誘導することを見いだした。
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