研究課題/領域番号 |
20K07039
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研究機関 | 東京医療保健大学 |
研究代表者 |
岩澤 篤郎 東京医療保健大学, 医療保健学研究科, 教授 (20468599)
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研究分担者 |
松村 有里子 東京医療保健大学, 医療保健学研究科, 准教授 (10439507)
高松 利寛 東京理科大学, 研究推進機構生命医科学研究所, 助教 (10734949)
沖野 晃俊 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (60262276)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 殺菌効果 / 大気圧低温プラズマ |
研究実績の概要 |
大気圧低温プラズマは、活性種の生成により低温での微生物不活化が可能であり、薬剤に代替する新たな殺菌手法として期待されている。しかし、殺菌メカニズムの調査や医療器具等への殺菌条件の最適化が不十分であるため、実用化には至っていない。そこで、本研究ではプラズマのガス種とガス温度を選択できるプラズマ源としてマルチガスプラズマジェットを用いて、細菌、真菌、ウイルスに対する殺傷効果を検証するとともに、用いたガス種により生成する活性種を定量することで各種微生物に対する殺菌因子の解明を行うことを目的とする。 医療応用可能なプラズマ源は、プロトタイプのプラズマジェット装置から試作改良を繰り返し行い、3Dプリンターを用いてプラズマ源を試作した。この試作装置を用いて温度調整流体(Temperature control fluid, TCF)でプラズマの温度制御を行い、TCFの温度とプラズマガス温度との間に生の相関を示し、3℃~108℃の温度範囲でプラズマガス温度の制御を行うことが可能となった。さらに、ガス種をアルゴンガス、窒素ガス、ヘリウムガス、二酸化炭素ガスと変化させてもプラズマガス温度の制御は可能であった。 試作した医療用プラズマ殺菌装置について殺菌効果と抗ウイルス効果を検討した。大腸菌に対する殺菌効果は、窒素、アルゴン、ヘリウムプラズマでは殺菌効果が得られなかったが、二酸化炭素、酸素プラズマでは高い殺菌効果が得られ、特に酸素プラズマでは30秒の処理で生存菌数が5桁以上減少した。エンベロープウイルスであるヘルペスウイルスに対しても同様の傾向を示し、二酸化炭素、酸素プラズマを60秒照射すると5桁以上の抗ウイルス効果が認められた。しかし、一部のノンエンベロープウイルスに対しては顕著な抗ウイルス効果が認められず、対象微生物により抵抗性が異なった。
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