研究課題
基盤研究(C)
抗アレルギー薬のひとつであるクロモグリク酸ナトリウムは伝承薬由来であり、その作用機序は不明であった。本研究では、花粉症やアレルギー性喘息において重要な役割を果たすマスト細胞の表面に存在するGPR35という膜タンパク質が、その標的であることを齧歯類において見出した。GPR35を活性化する化合物は、マスト細胞のIgEを介する脱顆粒応答の抑制を介してアレルギー反応を抑制すると考えられる。
薬理学
クロモグリク酸ナトリウムは副作用の頻度の低い抗アレルギー薬として知られるが、一方で消化管吸収が悪いために投与経路が限定されている。本研究を通じて標的分子が明らかになったことにより、消化管吸収が改善された代替薬を開発することができる。また、GPR35はゲノムワイド相関解析により、炎症性腸疾患、Ⅱ型糖尿病といった慢性炎症性疾患と相関が強いことが報告されており、こうした疾患の新たな治療薬開発の基礎的知見を提供するものでもある。