• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

鉄過剰による血球分化障害の新規機序の解明を基盤とした鉄剤長期使用の健康影響の検証

研究課題

研究課題/領域番号 20K07043
研究機関産業医科大学

研究代表者

北川 恭子  産業医科大学, 医学部, 講師 (20299605)

研究分担者 辻 真弓  産業医科大学, 医学部, 教授 (40457601)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード血球細胞分化
研究実績の概要

本研究課題では「鉄過剰は血球前駆細胞の障害の原因となる」ことを仮説として、その検証および発生機序を解明すると共に、鉄剤過剰使用による造血不全の発生リスクを評価する。妊娠中は胎児への鉄の供給が発生するため、鉄欠乏性貧血の発生率が高い。このため妊娠中は鉄剤が処方される頻度が高いが、過剰の鉄剤摂取が生体にどのような影響を及ぼすのかは明らかになっていない。また鉄欠乏性貧血の特徴の一つとして血小板過多が知られているが、血小板の発生源である巨核球は赤芽球と分化過程が途中まで同じ経路を進み、最後に分枝することが明らかになっている。よって鉄欠乏を原因とする赤血球の産生不全が発生する状況では、同時に巨核球の正常な産生からの逸脱も発生している可能性がある。我々はこれまでの研究で、血球細胞の分化過程初期に全ての前駆細胞で一過性のトラスフェリンレセプターの発現を確認しており(未発表データ)そのリガンドとなる鉄の過剰供給はシグナル過多をもたらすと考えている。よって赤芽球、巨核球のみならず顆粒球を含めた全ての血液前駆細胞が過剰シグナルの影響を受け、これが正常な分化を妨げる原因となる可能性がある。このことをマウス骨髄から単離した血球前駆細胞を対象に検証するために、FACSを用いた細胞の解析や分画、さらにin vitroでの分化誘導を行うことを計画し、予備検討を行なっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究課題では「鉄過剰は血球前駆細胞の障害の原因となる」ことを仮説として、その検証および発生機序の解明、および妊産婦における鉄剤過剰使用による造血不全の発生リスクの評価の二方向から取り組む計画である。前者はモデル動物を用いて検証を進めることを計画している。本年度はコロナ感染予防のため、本大学の動物実験施設が使用禁止の時期があり、またピペットなどの消耗品の入手が困難な状況が続いており、計画の遂行には遅延が発生した。

今後の研究の推進方策

当初の計画通り、血球細胞がその分化過程で鉄過剰の環境に晒されることによってどのような影響を受けるのか、マウスの血球前駆細胞を対象に解析する。(1)血球前駆細胞の各系統への分化過程とCD71発現変動の連動性の評価および(2)pulse-chase assayによる分化細胞の追跡を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

本年度はコロナ感染予防のため、本大学の動物実験施設が使用禁止の時期があり、研究の遂行に遅延が生じた。そのため当該年度に予定していた動物の骨髄細胞を対象とする解析実験が、次年度の予定に組み込まれることになった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Substitution of Thr572 to Ala in mouse c-Myb attenuates progression of early erythroid differentiation.2020

    • 著者名/発表者名
      1.Kitagawa, K., Uchida, C., Horiguchi, .R, Ohhata, T., Sakai, S., Niida, H., Yasumoto, S., Handa, Y., Suzuki, M., Hashimoto, M., Tazawa, T., Yokochi, Y., Tsuji, M. and Kitagawa, M.
    • 雑誌名

      Sci. Rep.

      巻: 10 ページ: 14381

    • DOI

      10.1038/s41598-020-71267-5

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] マウス赤血球の初期分化の遅延をもたらした転写因子c-Myb Thr572のアミノ酸置換2020

    • 著者名/発表者名
      北川恭子 内田千晴 辻真弓 北川雅敏
    • 学会等名
      第43回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] 赤血球初期分化時のc-Myb発現量調節の役割2020

    • 著者名/発表者名
      北川恭子 辻真弓 北川雅敏
    • 学会等名
      第90回日本衛生学会学術総会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi