研究課題
本研究は、難治性皮膚炎である乾癬の発症に、どのカルパインがどのように関与するのかを明らかにすることを目的とする。本年度は、(1)カルパインの活性異常が乾癬様皮膚炎を引き起こすメカニズムの解析と、(2)ヒト乾癬生検を用いたカルパインの遺伝子変動解析を進めた。まず(1)について、乾癬様皮膚炎をまだ発症していない、生後0日のCapn8Tgマウス皮膚のマイクロアレイ解析を行った。その結果、野生型マウスコントロールと比較して、過増殖性ケラチンであるKrt6BとKrt16、表皮ケラチノサイト由来の様々な産生因子の遺伝子発現が上昇する一方、乾癬発症に大きく寄与するTh17細胞及びγδT細胞による過剰な免疫応答を示すサイトカイン群の発現に変動は見られなかった。即ち、Capn8Tgマウスでは、第一に表皮ケラチノサイトに異常が生じ、乾癬様皮膚炎の発症に至ることが示唆された。次に(2)について、ヒトの健常者および乾癬患者の皮膚生検を用いて、pPCRによる全カルパイン遺伝子の発現変動解析を行った。その結果、検体数が少ないため統計的有意差を見出すには至っていないが、CAPN15の発現が上昇傾向にあることが明らかになった。即ち、CAPN15の発現上昇による過剰な活性が乾癬を引き起こす可能性が示された。
2: おおむね順調に進展している
コロナウイルス感染症対策に伴う緊急事態宣言のため、年度当初2ヶ月間は研究の遂行が著しく困難な状況となった。しかし、研究実績に示した通り、カルパインによる乾癬発症のメカニズムを解明する上で方向性が見いだすことができたことから、研究は順調に進展していると判断した。
今後は、表皮ケラチノサイトに着目しマウス初代培養または細胞株を用いた機能解析を中心に進める。
年度当初のコロナウイルス感染症緊急事態宣言で、研究を中断せざるを得ない状況になったため、次年度使用額が生じることとなった。次年度以降、細胞株を用いた解析のための購入資金として使用する計画である。
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