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2021 年度 実施状況報告書

カルパインの酵素活性異常を介した難治性皮膚炎発症の分子機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K07044
研究機関公益財団法人東京都医学総合研究所

研究代表者

秦 勝志  公益財団法人東京都医学総合研究所, 基礎医科学研究分野, 主席研究員 (10392375)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードカルパイン / 乾癬
研究実績の概要

本研究は、Capn8-Tgマウス(Capn8-Tg)の表現型発見を契機に、乾癬発症におけるカルパインの役割を解明し、新規治療法開発に繋がる分子基盤の確立を目指すものである。乾癬は表皮細胞の増殖・分化異常、リンパ球の浸潤などを所見とする疾患である。遺伝子や環境因子の複合要因のもと、表皮細胞と免疫細胞との相互作用が病態の中心と考えられているが、発症機序は未だ不明な点が多い。本年度は以下(1)(2)を明らかにした。
(1)Capn8-Tgは全身にCAPN8を発現している。Capn8-Tgマウスに対し免疫賦活化剤イミキモドを皮膚に塗布して乾癬を誘導すると塗布箇所で乾癬の増悪が起こることから、皮膚に異所発現するCAPN8が発症に作用することが示唆された。さらにCAPN8が皮膚において表皮細胞と免疫細胞どちらで作用するのか調べるため、乾癬症状がまだ認められない出生0日目のCapn8-Tg皮膚のマイクロアレイ解析を行った結果、表皮細胞関連遺伝子の発現上昇が見られた一方、Th17細胞の活性化を示すサイトカイン変動は見られなかった。即ち、Capn8-Tgの病態はCAPN8による表皮細胞の増殖・分化異常が引き金となることが示唆された。
(2)Capn8KOマウス皮膚に対してイミキモド乾癬誘導を行った場合には乾癬症状の抑制が見られなかった。そこで、イミキモド乾癬誘導マウスを用いて全カルパイン分子種の発現変動を調べたところ、CAPN8ではなくCAPN12とCAPN15の有意な発現亢進が見られた。Capn12KOマウスに対してイミキモド乾癬誘発を行うと症状が抑制されたことから、病態形成へのCAPN12の関与が明らかになった。CAPN12は皮膚表皮細胞特異的に発現するが生理機能は不明である。
以上の結果から、乾癬の病態形成において、CAPN12活性亢進が表皮細胞の異常を引き起こす可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

病態形成へのCAPN12の関与を見出したが、予定しているCapn12KOマウスを用いた解析がまだ進められていないため。

今後の研究の推進方策

Capn12KOマウスだけでなく乾癬発症モデルであるCapn8-Tgマウスも対象に、これらの皮膚やプライマリー表皮細胞を用いて、質量分析やマイクロアレイ解析を取り入れつつ、CAPN12が作用するシグナル経路の同定を目指す。

次年度使用額が生じた理由

マウス解析実験の遅れにより使用額が予定より少なかったが、次年度の解析に充てる予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 その他

すべて 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [図書] Encyclopedia of Biological Chemistry, 3rd Edition2021

    • 著者名/発表者名
      Ono Y, Shinkai-Ouchi F, Noguchi A, Hata S.
    • 総ページ数
      4822
    • 出版者
      Elsevier
    • ISBN
      9780128194607
  • [備考] 東京都医学総合研究所カルパインプロジェクトホームページ

    • URL

      https://www.igakuken.or.jp/calpain/

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公開日: 2022-12-28  

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