研究課題
ミトコンドリア膜の透過性が上昇する現象である「透過性遷移」はミトコンドリア内の細胞死誘導因子を放出させるマシナリーであり、細胞死実行のトリガーとして機能している。透過性遷移は、虚血再還流障害やアルツハイマー病などの発症と密接に関与しており、透過性遷移を制御できる化合物は有効な治療薬になると期待される。このため、分子標的となる透過性遷移の制御因子の同定が求められているが、ミトコンドリアは生命機能に必須であるため、構成遺伝子のノックアウト動物は構築が難しく、研究が難航していた。申請者はミトコンドリアの機能を失っても生育が可能な酵母に注目し、酵母のミトコンドリアに透過性遷移を誘導する実験系を世界に先駆けて確立した。本申請では、この酵母を使った解析系に先端プロテオミクス解析を併用した新規戦略で、透過性遷移の制御因子を同定することを目指すことを目的とする。初年度は、透過性遷移に関与するタンパク質を探索するための先端的プロテオミクス解析に関する条件検討を行い、至適な解析条件を決定することができた。また、この条件を用いて、ミトコンドリアタンパク質を対象として、透過性線の新規制御因子の探索を開始した。
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