現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
結果の概略を以下に記す。 無処置群と比較してDSS処置群で統計的な有意差が観測された項目を示す。体重減少(9, 72週令)。DAIスコア増加(9, 72週令で顕著、40週令で軽微)。大腸長の短縮(9, 72週令で顕著、40週令は不変)。大腸上皮組織染色の炎症評価(9週令で顕著、40週令で軽微、72週令は不変で元来から炎症が相当度みられる)。大腸IAP活性の上昇(9, 40週令で軽微、72週令で顕著、また無処置群では9-40週令で同レベルだが72週令で低下)。血漿中ALP活性の低下(9, 40週令で顕著、72週令で軽微、また無処置群では9週令から40-72週令で低下)。腸中亜鉛濃度の増加(小腸上下部では72週令で軽微、大腸では未変化)。血漿中亜鉛濃度の低下(9, 40週令で明確、72週令で顕著、また無処置群では9週令から40-72週令で低下)。大腸中マンガン濃度の低下(9, 40, 72週令で明確)。大腸中銅濃度の低下(9, 40, 72週令で明確、また無処置群でも9→40→72週令で順次低下)。血漿中マンガン濃度の低下(9週令から40-72週令で軽微、また無処置群でも同様)。血漿中銅濃度の上昇(9, 40, 72週令で明確、また無処置群でも9週令から40-72週令で明確)。 結果を要約すると、DSS処置により惹起される潰瘍性大腸炎は9および72週令で顕著に発症する一方で、40週令では発症しても軽微か、もしくは発症しなかった。これは、DSSによる消化管粘膜損傷後の腸内細菌侵入、その後の白血球細胞による炎症応答反応が、加齢により変化することを示唆している。また、申請者が想定していた通りに、そもそも加齢に伴う血漿中亜鉛、マンガン、銅濃度の変化、血漿中および大腸中の亜鉛要求酵素の活性変化が観測され、加えて潰瘍性大腸炎の発症によりそれぞれのパラメーターに変動が見られた。
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