研究課題
初年度には、計画調書に計上したAKTAシステムを購入し、数種の毒蛇の毒液および血液タンパク質成分の分析を円滑に行うことができた。初年度の特記すべき成果は、毒液の相乗的なシステムの普遍的な要素やその機構の解明を目的とした実験で、マムシおよびエラブウミヘビの毒腺および各組織のトランスクリプトーム解析を行い、信頼できる質の高いデータを得ることができたことである。さらに、ヘビ毒液中の毒性を大幅に高めるタンパク質の結晶構造解析に成功し、論文投稿という形でまとめることができた。2年目には、初年度のデータに加え、無毒ヘビのトランスクリプトーム解析およびプロテオミクス解析を行った。最終年度には、クサリヘビ科、コブラ科、および、無毒ヘビのトランスクリプトーム解析およびプロテオミクス解析より、有毒ヘビと無毒ヘビの共通点および相違点をまとめ、それらの比較解析からいくつかの毒ヘビ特有の候補遺伝子およびタンパク質に着目することができた。現在は、毒ヘビ血清タンパク質の標的遺伝子およびタンパク質の発現量の違いが、クサリヘビ科とコブラ科どのように異なるのかなどより細かな分析を行っている。さらに、最終年度にはコブラ科毒ヘビの致死毒素であるニューロトキシンに特異的に結合する血清タンパク質を同定し、その結合能および阻害能の評価を行った。毒素およびその結合タンパク質の調製方法を確立に成功しているため、現在、立体構造解析を行うための結晶化を行っている。全体的に、順調に本研究を推進することができ、世界で致死被害を引き起こす毒ヘビの毒素特異的結合タンパク質の同定を行い、その結合領域の特定構造まであと一歩である。また、毒液の相乗的な効果を担う、タンパク質の結晶構造を報告すると同時に、比較的順調にその毒素の簡便な調製方法を確立に成功した。
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Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - General Subjects
巻: 1867 ページ: 130248~130248
10.1016/j.bbagen.2022.130248