研究課題/領域番号 |
20K07074
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
丹野 孝一 東北医科薬科大学, 薬学部, 教授 (20207260)
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研究分担者 |
根本 亙 東北医科薬科大学, 薬学部, 講師 (80635136)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 2型糖尿病 / 神経障害性疼痛 / ペリンドプリルエルブミン / テルミサルタン / レプチン欠損 (ob/ob) マウス |
研究実績の概要 |
過去3年間の研究では2型糖尿病モデルマウスとしてレプチン欠損 (ob/ob) マウスを用い、糖尿病性神経障害性疼痛における脊髄アンジオテンシン (Ang) 系の関与、特にAng変換酵素 (ACE) 2/Ang (1-7)/Mas受容体系の機能低下に着目して解明を試みた。その結果、ob/obマウスで認められる神経障害性疼痛は脊髄後角におけるACE2陽性神経細胞の減少に伴うAng (1-7) 産生系の抑制と、これに起因したp38 MAPKの活性化が関与していることを明らかにした。 糖尿病など高血糖状態では、アンジオテンシン (Ang) II 産生系が亢進しており、糖尿病性腎症および網膜症などの合併症の原因となっている。一方、糖尿病性神経障害性疼痛の主要因として高血糖により生じる末梢神経の代謝障害や血流障害が考えられているが、その詳細については十分に解明されていない。このような背景の基、令和5年度の研究ではob/obマウスを用い、糖尿病性神経障害性疼痛におけるAng II 産生系の関与について検討を行なった。 Ob/obマウスに、生後6週目からACE阻害薬のペリンドプリルエルブミン (2 mg/kg)、Ang II AT1 受容体遮断薬のテルミサルタン (5 mg/kg) またはカルシウムチャネル遮断薬のアムロジピン (3 mg/kg) を連日腹腔内投与し、痛覚閾値を測定したところ、ペリンドプリルエルブミンとテルミサルタンは、血糖値上昇に影響することなく、糖尿病に伴う痛覚過敏の発症を有意に抑制したが、アムロジピンは無効であった。 以上の結果から2型糖尿病における神経障害性疼痛にはAng II 産生系の亢進が関与しており、ACE阻害薬およびAT1受容体遮断薬は糖尿病性神経障害性疼痛に対する新規治療薬になり得る可能性を示唆した。
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