研究課題
動脈硬化症を基盤として発症する心血管病は、現代において主たる死因の一つであり、特異的な治療法の開発が望まれる。本研究は、動脈硬化症の発症・進展に深く関わる終末糖化産物(AGEs)に着目し、AGEsもしくはRAGEの作用を阻害するDNAアプタマーをモデル動物に投与することで、動脈硬化症の抑制効果を検討していく。本研究は、老年病や生活習慣病と動脈硬化症をつなぐ共通の病態因子の同定とともに、動脈硬化症に対する新しい治療手段の提示につながり、その学問的かつ臨床的意義と価値は大きい。動脈硬化モデルマウスにアポリポプロテインE欠損マウス(ApoEshl、高脂肪・高コレステロール食で飼育)、非動脈硬化コントロールにBALB/cマウス(通常食で飼育)を用いる。発症予防実験では大動脈にアテローム斑が認められない12週齢のマウス、進展抑制実験では大動脈弓部を中心にアテローム斑が明瞭に形成される20週齢のマウスを使用する。AGEアプタマー、RAGEアプタマー、もしくはコントロールアプタマー(ランダム配列の一本鎖DNA)は薬液徐放作用のある浸透圧ポンプをマウスの腹腔内に植え込むことで持続投与した。2022年度はヒト単球U937細胞から分化誘導したマクロファージを用い、in vitroの実験系でAGEアプタマーとRAGEアプタマーが動脈硬化を抑制する機序を明らかにする。AGEsを培地中に10-100 μg/mlで添加し、AGEアプタマー、RAGEアプタマー、コントロールアプタマー存在、非存在下で、細胞内酸化ストレスレベルを蛍光試薬(carboxy-H2DFFDA)を用いて測定した。また、抽出した大動脈弁輪部のOilRedO染色、MOMA-2染色を行い、マクロファージ泡沫化にも関連する蛋白の染色と定量解析を行った。
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International Journal of Molecular Sciences
巻: 24(7) ページ: 6505
10.3390/ijms24076505