統合失調症は、重大な精神疾患であり、現在の治療では十分な効果が得られない難治例も多い。現在、精神疾患の診断は精神症候学に依拠しており、病態を反映した客観的な診断法はなく、治療法の開発も遅れている。統合失調症の発症に関する遺伝的寄与は大きいと推測されているが、発症メカニズムの詳細は未だ不明であり、病態に基づく治療薬開発が進んでいないのが現状である。本研究課題では、神経化学、形態学および行動薬理学を融合させた包括的解析を実施することにより統合失調症患者で同定されたARHGAP10遺伝子変異の病態生理学的意義を明らかにすることができた。Rhoシグナルを標的とした新規治療薬の開発に繋がる成果を示した。
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