Brorin遺伝子欠損マウスの弓状核におけるAgRP、NpyおよびPOMCの発現細胞及び発現領域の変化の有無についてin situ hybridization法を用いて解析した。16週齢のBrorin遺伝子欠損マウスの弓状核の前後軸に沿って3領域を選んで調べたところ、いずれの領域においてもNpyの発現領域に変化は見られなかったが、面積あたりの発現細胞数および相対発現強度が野生型マウスに比べて増加していた。Npyと同様に、Brorin遺伝子欠損マウスの弓状核におけるAgRPおよびPOMC の発現細胞数および相対発現強度についても解析したところ、どちらの遺伝子についても相対発現強度に差は認められなかったが、面積あたりの発現細胞の数は共に有意に増加していた。 さらに、Brorin と他の摂食制御関連遺伝子との関係についても検討した。22週齢のBrorin遺伝子欠損マウスの視床下部について、摂食制御関連遺伝子の発現量を逆転写qPCR法により解析したところ、摂食促進ペプチドであるPmchの発現量は野生型マウスと比べて変化が認められなかった。一方、摂食抑制ペプチドであるCartptの発現量の発現量は野生型マウスと比べて増加傾向を示した。 また、Brorin と脂質代謝関連遺伝子との関係についても検討したところ、Brorin遺伝子欠損マウスの腸間膜白色脂肪組織にいてDgat2、HslおよびPlin1の発現量が野生型マウスに比べて有意に増加しており、脂質代謝に変化が生じている可能性が示された。さらに脂質代謝関連遺伝子の発現量の変化に伴うアディポカインの発現量の変化について検討を行ったところ、LeptinだけでなくAdiponectinの発現量も増加していた。
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