本研究ではヒトEP2およびEP4受容体発現量比の変化による細胞機能変化の解析を行い、がん化の分水嶺となる点を明らかにすることを目指した。2020年度には、EP2受容体発現量が減少し発現バランスが崩壊すると、EP4受容体による反応が終息できないことが、がんの悪性化の一要因である可能性を示唆した。2021年度には、それぞれの受容体は独立して、がん細胞を含む生体反応を制御している可能性を示唆したことから、受容体発現バランスの重要性を再確認できた。また2022年度は、EP4受容体による反応が継続し続けることで糖代謝系が変化することが、不可逆的ながん増悪機構の起点である可能性を示唆することができた。
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