研究課題/領域番号 |
20K07088
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
雑賀 史浩 和歌山県立医科大学, 薬学部, 客員研究員 (10644099)
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研究分担者 |
松崎 伸介 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 教授 (60403193)
木口 倫一 和歌山県立医科大学, 薬学部, 准教授 (90433341)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 痒み / 乾癬 / イミキモド / ガストリン放出ペプチド(GRP) / 脊髄 / Gi-DREADD / CNO |
研究実績の概要 |
前年度の行動実験の結果およびその掻痒発現時期と対応する脊髄後角におけるガストリン放出ペプチド(GRP)/ガストリン放出ペプチド受容体(GRPR)mRNAの発現増加の結果を鑑みて、5 %イミキモドクリーム(IMQ)の7日間反復塗布スケジュールで実験を進めた。本乾癬病態モデルを用い、脊髄内痒み伝達機構におけるGRP-GRPRシステムがこの病的な痒み機構に関連することを検証するため、GRP-CreマウスをROSA26-STOPflox-hM4Diと交配させ、GRP産生ニューロンにおいてCre依存的に変異型ヒトムスカリン受容体を発現するマウスを作製した(以下GRP-Gi-DREADDマウスと示す)。このマウスに外来性アゴニストであるClozapine-N-Oxide(CNO)を投与することで、GRP産生ニューロンを抑制することが出来る。コントロールマウスとしては、ROSA26-STOPflox-hM4Diを用いた(以下、Controlマウスと示す)。両マウスともIMQ反復塗布7日目において有意な掻破行動の増加を認めた。この7日目において両マウスに、CNOを腹腔内または脊髄腔内投与すると、Controlマウスに比べ、GRP-Gi-DREADDマウスでは有意に掻破行動が減少した。このことから、乾癬病態モデルにおける掻痒誘発における脊髄GRP産生ニューロンの関与が示唆された。 また前年度にIMQ誘発乾癬モデルマウスの皮膚で確認したサイトカイン・ケモカイン発現増加の結果より、naiveマウスに対してリコンビナントCCL3またはCCL4を単回皮下投与を行ったものの、リコンビナント単独での掻破行動の増加は確認できなかった。単独投与では明らかな作用が認められなかったため、組み合わせ投与などを検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験時期に、一定数の週齢の近いDREADDマウスを準備する必要があるため、時間はかかったが、想定していた結果が得られたので、納得している。同時に、IMQ乾癬モデルでの皮膚やミクログリアの実験も進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
GRP-GRPRシステムについて、乾癬病態モデルにおけるGRPR陽性ニューロンに焦点を当てた実験を遂行していくとともに本モデルにおけるミクログリアの関与についても検討を続ける。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費は、コロナのため学会に行くことが出来ず使用できなかった。 実験補助での学生アルバイトも、同様のため理由で使用せず。 次年度における消耗品購入費や遺伝子改変動物購入費、情勢を考慮して可能であれば学会参加などに充てたい。
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