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2020 年度 実施状況報告書

ドーパミン神経細胞に発現するMHCに着目した発達障害の神経機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K07089
研究機関埼玉医科大学

研究代表者

村上 元  埼玉医科大学, 医学部, 講師 (70613727)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード母胎免疫活性化
研究実績の概要

発達障害は世界的に大きな社会問題であるが、その発症には複数の遺伝子疾患や様々な環境要因が関わっているため複雑でまだわかっていない。私はこれまでの研究で発達障害の動物モデルとして世界的に用いられている母体免疫活性化法を用い、ドーパミン系が関わる複数の脳部位での遺伝子発現変化をRNAシーケンス法により網羅的に調べた。その結果、ドーパミン系を担う様々な脳部位で発達障害様行動を引き起こす原因遺伝子の候補を見出すことに成功した。またそれ等の遺伝子発現変化を確認するため、poly(I:C)を用いて作成したウイルス感染モデルマウスと、ウイルスが含まれていない溶液を同様に投与した対照マウスからドーパミン系を担う様々な脳部位を切り出し、それ等の試料からmRNAを抽出し、定量的PCRをおこなった。その結果RNAシーケンス法によって見出した発達障害様行動を引き起こす原因遺伝子の候補のうちいくつかの遺伝子に関して同様の変化が起きていることを確認した。またそれ等のタンパク質がどこに発現するか調べるために免疫組織染色を行った。その結果、それ等の遺伝子が神経細胞に発現し、更に神経間接合部のシナプスに局在する事を発見した。この事から本研究で発見した遺伝子は神経細胞で重要な働きを担っていることが考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ドーパミン系を担う様々な脳部位においてRNAシーケンス法によって見出された発達障害様行動を引き起こす原因遺伝子の候補を定量的PCR法により確認することに成功した。更に、免疫組織染色によりそれ等の遺伝子が神経細胞に発現し、更に神経間接合部のシナプスに局在する事を発見した。現在はこれらの遺伝子変化をタンパク質レベルで確認するため、poly(I:C)を用いて作成したウイルス感染モデルマウスと、ウイルスが含まれていない溶液を同様に投与した対照マウスからドーパミン系を担う様々な脳部位を新たに調製し、それ等の試料からタンパク質を抽出し、ウェスタンブロット法を用いて確認を行っている。また本研究で得られた発達障害様行動を引き起こす原因遺伝子の機能を調べるため、電気生理学的解析を行い母体免疫活性化によるドーパミン神経細胞への神経細胞間結合への影響を調べている。

今後の研究の推進方策

現在はこれまで確認された母体免疫活性化によって引き起こされた遺伝子変化をウェスタンブロット法を用いてタンパク質レベルで確認をしているが、引き続きこの実験を行っていく予定である。また本研究で得られた発達障害様行動を引き起こす原因遺伝子の機能を調べるため、電気生理学的解析を行い母体免疫活性化によるドーパミン神経細胞への神経細胞間結合への影響を調べているが、この実験についても継続していく。更には神経細胞間結合の場である樹状突起上に存在するスパインと呼ばれる微小突起構造の形態解析を調べる事で、ドーパミン神経細胞へ入力する神経細胞間結合への母胎免疫活性化による影響を調べる予定である。

次年度使用額が生じた理由

一部予想と異なる結果が得られ、新たな実験計画を行っているため。

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公開日: 2021-12-27  

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