研究実績の概要 |
前年度から引き続いてCinobufaginによる白血病細胞株に対する抑制効果に関して、詳細なる解析を行い報告した1)。次に、ムラサキ科の紫根に含まれる天然化合物Shikoninに関して解析を行った。Shikoninはナフトキノンの1種であり、甲状腺癌、悪性脳腫瘍、肺癌や大腸癌に対する報告がみられる。白血病に対する効果の報告も数多く、作用機序としてはc-Mycの低下による機序が報告されている。そこで、c-Mycがドライバーとして働いている白血病細胞株HL60, Kasumi-1を用いて、Shikoninによる薬剤処理を行ったところ、細胞増殖抑制効果を確認した。実際に網羅的な転写変動をみるためにRNA-seqを行い、GSEA解析を行ったところ、低下した遺伝子群は両細胞株において50のHALLMARKのうちMYC_TARGETS_V2がNESが最も低かった。一方上昇していた遺伝子群は両細胞株において炎症系やapoptosisのHALLMARKのNESが高く、上位を占めた。つづいて薬物処理によるエピゲノムの変化を観察するために抗H3K27ac抗体を用いてChIP assayを行い統合解析を行っている。 HL60, Kasumi-1二種類の細胞株を用いて、抗癌作用をもつ生薬のスクリーニングを行った。中国で臨床的に癌に有効とされている66種類の生薬をスクリーニング対象とした。結果は白花蛇舌草、菖蒲根、蒼耳子、腫節風、ウワウルシの生薬抽出液で抑制効果がみとめられた。 1) Yoshiro Hirasaki et al, Cinobufagin inhibits proliferation of acute myeloid leukaemia cells by repressing c-Myc pathway-associated genes, CHEMICO-BIOLOGICAL INTERACTION, 2022 Jun 1;360:109936.
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