研究課題/領域番号 |
20K07103
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
石内 勘一郎 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 准教授 (70608140)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 植物内生糸状菌 / Paraboeremia sp. Lsl3 / Lycopodium alkaloid / 生合成遺伝子 |
研究実績の概要 |
本年度は、ヒカゲノカズラ科植物オニトウゲシバ由来の内生糸状菌Paraboeremia sp. Lsl3のku遺伝子破壊株を用い、pyrG遺伝子破壊株の作出を試みた。まずネオマイシン耐性遺伝子を選択マーカーとし、その両端に2 kbpの相同組換領域を結合したpyrG遺伝子破壊ベクターを出芽酵母のリコンビネーションにより構築後、制限酵素処理したベクターでLsl3Δku株を形質転換した。得られた形質転換株よりゲノムDNAを抽出し、相同組換領域を挟むポジティブ検出型のPCRおよびpyrG遺伝子内の配列を伸長するネガティブ検出型のPCRで確認を行なった結果、pyrG遺伝子の破壊が確認された。しかし同形質転換株は、5-FOA耐性を示す一方で、ウラシル要求性を示さなかった。また、目的生合成遺伝子クラスター中に存在する転写因子をコードする遺伝子の5種の強制発現ベクターを作成した。さらに、制限酵素消化した発現ベクターをLsl3株に導入し、合計17株の形質転換株を得た。また、Aspergillus属糸状菌の異種発現ホストとしての研究基盤整備を進めた。まず、A. oryzaeの形質転換条件を確立し、pyrG遺伝子破壊株の作出を試みた。目的遺伝子破壊ベクターを構築後、制限酵素処理したベクターで本菌株を形質転換した結果、PCRによりpyrG遺伝子の破壊を確認し、5-FOA耐性かつウラシル要求性株の作出に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
まずLsl3Δku株より、pyrG遺伝子破壊を示唆する株の作出には成功したが、目的とするウラシル要求性の獲得には至らなかった。また、目的生合成遺伝子クラスターの強制発現株を作出した一方で、化合物生産の確認までは至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、Lsl3形質転換株の分生子形成条件を速やかに検討するとともに、遺伝子クラスター強制発現株の化合物生産確認を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、計画していたシーケンス解析を行えなかったため、そのための費用が未使用となった。これらの実験は、次年度実施する。
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