研究実績の概要 |
ルミナミシンの生合成における無水マレイン酸含有14員環ラクトン(ノーザンパート)とシスデカリン含有10員環ラクトン(サザンパート)のカップリング機構の解明を目的に、昨年度はLumP3, LumP4, LumIおよびLumR/Sの遺伝子欠損株を作製し、lumP4欠損株より生合成中間体と考えられる化合物を取得した。本年度は、メチル基転移酵素 (LumM1) の遺伝子欠損株を作製した。作製した欠損株の培養液についてLC/MS解析を行なった結果、ルミナミシンの生産が見られなかったため、本遺伝子もルミナミシンの生産に関与していることが分かった。一方、昨年度取得した生合成中間体を用いてin vitro試験を実施するため、S. albidoflavus J1074にlumP4をクローニングした発現ベクターを導入し、作製した菌株を寒天培地で培養後、lumP4より単離した生合成中間体を添加した。生合成中間体を添加した菌体を有機溶媒で抽出後、LC/MS解析を行なったが、次の生合成中間体への変換を確認することは出来なかった。続いて、in vitro酵素反応を実施するために、Escherichia coli BL21にlumP4をクローニングした発現ベクターを導入後、タンパク質発現を行い、Niカラムを用いてHis-tag付きのLumP4を精製した。また、同様な方法でLumP3およびノーザンパートのAMP化に関わると考えられるLumGの発現および精製を行い、いずれも可溶性タンパクとして取得することが出来た。今後は、LumP4のin vitro酵素反応を実施するとともに、lumP4以外の欠損株からも生合成中間体を単離し、精製したリコンビナントタンパク質を用いて酵素反応を行う予定である。
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