研究課題/領域番号 |
20K07108
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
中村 亮介 北里大学, 薬学部, 助教 (50383659)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 抗メチル水銀活性 / サポニン誘導体 |
研究実績の概要 |
我々はオレアノール酸 (OA) のC3位にグルコースが結合したサポニン誘導体であるOA-3-グルコシド (OA3Glu) 抗メチル水銀 (MeHg) 活性を持つ化合物として見出している。 OA3Gluの抗MeHg活性には、OAのC3位に結合しているグルコースおよびC28のカルボキシ基が寄与している可能性が考えられた。OA3Gluの抗MeHg活性に寄与している構造を明らかにするため、OAのC3位に結合する糖の種類の異なる誘導体および、それぞれの誘導体のC28位のカルボキシ基をマスクし、不活化させた誘導体を合成し、MeHg毒性抑制作用をin vitroにおいて検討した。ヒト腸管由来Caco-2細胞にそれぞれのOAサポニン誘導体を前処理した後MeHgをばく露し、MTTアッセイにより細胞生存率を測定したところ、OA 3-ガラクトシドは、OA3Gluと同程度の細胞死抑制が認められ、OA3Gluに比べると活性は弱いものの、OA 3-マンノシド、OA 3-キシロシドOA 3-アラビノシドはMeHgによる細胞死を抑制した。また、それぞれの誘導体のC28位のカルボキシ基をマスクしても、抗MeHg活性に大きな違いは認められなかった。以上より、OAサポニン誘導体は、OAのC3位の糖の構造によらず抗MeHg活性を示すものの、グルコースおよびガラクトースが結合することで高い抗MeHg活性を示すことが示唆された。また、C28位のカルボキシ基は抗MeHg活性に寄与していないことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
緊急事態宣言により実験動物の維持や実験活動を行うことのできない期間があったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後も新型コロナ感染症の流行により、長期的な見通しを立てることが難しいため、実験に必要な時間や人員、コストが大きいin vivoの実験を準備が整い次第率先して行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
緊急事態宣言により実験を継続して行うことができない期間があり、主に動物を使った実験を計画通りに進行することができず、関連する資材の購入を行わなかったため。当該実験は2021年度に行うことを計画しており、それに伴い昨年度未使用分を今年度執行する予定である。
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