研究課題
本研究では「アロマセラピーにはどのような、どれくらいの睡眠促進/睡眠異常改善効果があるのか?」を研究課題の核心をなす学術的「問い」として設定し、令和3年度の研究計画ではベルガモット精油の曝露濃度の違いにより、覚醒および睡眠を制御する脳領域の活動性に対する影響が異なることを見出した。そして令和4年度の研究計画では、小動物の脳波解析デバイスを用いて精油の吸入曝露中の睡眠・覚醒エピソードの変化を定量的、客観的に解析することを目指した。0.25%に希釈したベルガモット精油の吸入曝露を4時間行い、その間に取得した脳波を解析したところ、マウスが入眠するまでの時間(入眠潜時)が有意に(およそ2/3に)短縮されるという結果が得られた。この変化は、より高濃度である1.0%の希釈精油においても同様であった。次に、抗不安作用や鎮静作用が報告されているスイートオレンジ精油を用いて同様の検証を行った。その結果、0.25%に希釈したスイートオレンジ精油の吸入曝露では覚醒時間の10%減少とレム睡眠時間の10%増加が見られ、1.0%に希釈した精油では入眠潜時が2/3に短縮するという知見が得られた。以上の研究結果より、精油の吸入が睡眠に及ぼす影響を脳波解析デバイスにより客観的に定量化することは可能であることが示され、ベルガモット精油とスイートオレンジ精油の睡眠促進効果について、その種類や濃度の違いにより変動することがが明らかとなった。
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